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2015年5月6日水曜日

ママたちへ

この週末は4日間に渡るIntegrative Fertility Synposiumに参加し、トップクラスのドクターや中医師のレクチャーをみっちり受講してきました。そこで学んだこと、書きたいことは山盛りなのですが、実は帰り道にたまたま目撃したことが私のアテンションをつかんだまま離さないので、今日はそれを書きたいと思います。

今回のこのシンポジウム、毎年American Board of Oriental Reproductive Medicine主催で行われていて、今年はラッキーなことにバンクーバーのダウンタウンでありました。
On west hastingsだったので、イーストバンクーバーに住んでいる私はクラークを上ってイーストヘイスティングスをそのまま行けばよいという都合のいい場所。土曜日のレクチャーが終わり、午後5時くらいだったと思います。ヘイスティングといえば、ウェストサイドはオフィス街ですが、ガスタウンあたりから東は、世界で指折りの危険地帯、とはいえ普通に通る分には被害はまずない、ただそこにたむろしている人たちは薬物中毒者のために、がらっと独特な雰囲気にかわります。その中でも一番人が集まるあたりを抜け、メインストリートも超えたあたり、たむろしている麻薬中毒者は見られなくなった辺りで信号待ち。
その時、たまたまお母さんと5歳くらいの男の子が反対車線の歩道を歩いているのがふと目にとまりました。とても天気が良く窓は開けていたので、男の子が泣いている声がしっかり聞こえました。そこまでなら、よく見かける光景です。
ところが、泣きながら後ろを一生懸命ついてきている男の子の方を、お母さんが振り返ったかと思うと、男の子の手を無理やりぐいっと引っ張って自分の前に連れてきたかと思うと、どんっと背中を押して、男の子は倒れそうになりながらもくいしばり、でもこらえきれずもっと大きな声で泣きながら、それでも頑張って歩いています。そこで極めつけ。お母さん、大きな声で、TVだったらピーとなる放送禁止用語で子供を罵ったのです。すごく強い口調で、子供には絶対きかせたくない言葉で。。。そこで青信号になり私は前に進んだのですが、胸はドーンと重く締め付けられ、悲しくて涙がでてきました。

なぜ涙がでてきたかというと、もちろんその男の子の気持ちのこともあります。そして、言葉の部類はちがうとはいえ、押したり、引っ張ったりはしなかったけど、私にも『もうなんで!』と娘が2歳のときに気持ちの中でですが、手をあげたくなってしまったことがあるんです。親として、というより、モラルのあるはずの大人として、もちろんぐっと押えましたが、そのあとはそんなことを考えただけでもの凄い罪悪感で、娘を抱きしめてしばらく泣きました。娘はお昼寝したくなかっただけなんです。私はどうにかお昼寝してもらって、たまってる家事をこなし、あわよくば勉強する時間が欲しいという自分の都合だけで、寝ない娘に怒っていたんです。今思えば、私もママ歴2年、精一杯でも足らない時間と体力、精神力に常に戦っていたと思います。だからといって、もし私が本当に一度でも手をあげていたら、娘はどんな心の傷を受けたのでしょう。
子供は天使、とか、怒っちゃいけないとか、逆に怒ってもいいのよ、とかいろいろなことを聞きますし、人のために自分の命をひきかえにできると思うのは娘だけだし、毎日自分のどこからこんなに愛情がでてくるんだとよく思います。が、言うは易し行うは難し、どんなに大好きで愛していても、幸せでも、やっぱり大変なんです、お母さんって。求められて求められて、それが嬉しい常日頃なのに、与えられるものとのバランスがふと崩れそうになることなんて、あって当たりまえだと思うんです。
私が目撃した親子の人生のことは私は知らないので、ただのトリガーだったのですが、もしあなたがバランスを崩したとき、つらくて悲しくて、罪悪感であふれたとき、2時間だけでも信頼できる人にお子さんを預け、1時間、鍼灸を試してみてください。すーっと気持ちが軽くなり、また前をむくことができます。残りの一時間は可能な限り自分のためだけに使ってください。
今、『その2時間がないのよ』って思ったママ、それってクレイジーだと思いませんか?

ママ全員、政府から強制でマッサージや鍼灸のご褒美があってもいいぐらいだと思います。
睡眠もままならず、ずっと子育てに励んでいること、少しでも時間があくと、たまってる家事で、あっという間に一日は終わり。すごくすごく頑張っていること、私はわかります。子供はかわいいし、幸せなので大丈夫と、自分のことは後回しになっていることもわかります。でも母業はずっとこれからも続きます。最初から飛ばしっぱなしでは、いつか体や心に負担がかかります。首や肩が凝っていませんか?なかなかだんなさんに手伝ってもらえずモヤモヤしてませんか?ふーっやっと終わったーと大きなため息でベッドになだれこみ、だんなさんとの愛の時間や体力なんて残ってないってことないですか?

最近は心療内科などで、薬がすぐでるとききますが、薬の内容や副作用をご存知な方がどのくらいいるのでしょう。薬で本当に解決できるのでしょうか。バンドエイドをはり、その下は化膿している状態にならなければいいのですが、私にはそう思えません。
人を大切にできるのは、自分を大切にしているからこそ。バランスを整える力は本来人間に備わっているものです。鍼は体全体の滞りをなくし、自らの体がバランスを調整できるようにその治癒力を刺激し、応援してくれます。お住まいの地域で自分に合う鍼灸師さんをぜひ見つけ、受診してみてください。岡山市、もしくは場所によりますが東京都にお住まいの方、バンクーバーもしくはカルガリーにお住いの方、優しい鍼灸師を紹介できると思いますので遠慮なくお問合せください。

2015年3月11日水曜日

肥満度と妊娠

BMI(ボディ・マス・インデックス)ってご存知ですか?

身長、体重から計算するBMIは肥満度の指標として国際的に用いられていますが、それとウエスト周りをはかることで、体に蓄積された脂肪度合がよくわかります。

肥満度が高い場合は、心臓に負担がかかったり、脂肪を消化するために必要な胆汁を分泌する胆嚢のワークロードが増えたり、妊娠に大切な甲状腺の働きを低下させたり、はたまたインスリンの調整がうまくできず、糖分の代謝がさらに悪くなるなどの悪循環なリスクと共にやはりホルモンバランスが崩れるのは避けられません。
逆に肥満度が低い場合はどうでしょう。やせているから良いというものではないんですね。悪者になりがちな脂肪にもいくつかの大切な役割がありますが、中でも妊活とかかわりの深いエストロゲンを生成するので、BMIが約18以下だとその脂肪が足りず、骨粗しょう症のリスクが増えたり、栄養の蓄積度も減少するため、栄養不足になりやすくなります。
ということは、肥満度が高い場合には、エストロゲンの割合が多くなり過ぎるということです。
どちらにしても、ホルモンのバランスが乱れるのはお分かりいただけると思います。
ホルモンのバランスが乱れるということは、中医学でいうと、陰と陽のアンバランス。でもこの陰陽の微妙なバランスこそが、生命を宿るミラクルを起こしてくれているのです。

では、どのくらいの肥満度が理想なのでしょう?

22~24が理想的で、現実的な度数です。

気になる計算、BMIチャートに入れて計算すると早くて楽です。リンクを貼っておきますので、気になる方、ぜひ自分の脂肪度を調べてみてください。

http://www.nhlbi.nih.gov/health/educational/lose_wt/BMI/bmicalc.htm
(紫色のところをstandardからmetricに選びなおすと、日本人になじみ深い㎝と㎏でいれることができます)


通りには桜が咲き、過ごしやすくなってきました。何か始めるにもいい季節。肥満度が高くて自分でびっくりしてしまった方がいらっしゃったら、ぜひ、運動を始めましょう。食べるときは腹6分目までを5回くらいにわけて食べ、血糖値をできるだけ安定させるようにしましょう。
逆に肥満度が低くてびっくりした方は運動には注意が必要です。毎日ジョギングなどは控えて、ヨガなどで代謝を保ちながら、水分をしっかり補給するようお勧めします。


2015年1月8日木曜日

2015年、絶対妊娠!


明けましておめでとうございます。

みなさんはどんな年末年始を過ごされましたか?
2014年終わり頃に妊娠報告を受けた数があまりにも多くて、とても嬉しい驚きとともに、自信にもつながり、2015年を希望&確信満タンで始めることができました。
大好きな中医学を通して出会える方々に多々の経験をさせてもらえることに、本当に感謝です。

私は霊気ヒーラーでもあるので、ここぞというツボには宇宙からの気を流した状態で刺鍼したりマッサージをするようにしています。今回は、実は一番大切なその”気”のお話。

タイミングや、ホルモンバランスのほんの少しのずれ、生活習慣の乱れやストレスなど、赤ちゃんが欲しいと頑張っているみなさんは、妊娠、そしてその妊娠を継続させることが決して簡単ではないことをよく承知されています。
何年もチャレンジされている方の中には、半分あきらめておかないとすごく傷つくので、とごもっともなことを言われる方もいらっしゃいます。その”気”持ち、すごくよくわかります。
だけど、この一年、もしも頑張ると決めたなら”気”持ちも100パーセントにしませんか?

2015年、絶対、絶対妊娠する!

とインテンションを決めて、体だけでなく心もオープンな状態にして挑みませんか?
everything happens for a reason というように、今チャレンジしていることは全て何かのプロセスだと思います。ドアを半分でも閉めたら、受け取るものも半分になってしまいます。
赤ちゃんを授かるとはよく言ったもので、ほらさずかるの漢字の中にも”受”と書かれています。
If you want to receive, you have to be open!
心をオープンにすることで、気の流れは変わります。気の流れが変わると体に変化が現われてきます。心と子宮はBao maiという特別な経絡でつながっています。
心をオープンにすることも、Bao maiをスムーズにつなげることも鍼でお手伝いできます。ぜひご相談ください。junko@yinstill.com




2014年11月15日土曜日


 
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IVF(体外受精)を念頭に入れて妊活中の方、またはIVFって何?
そして何より、鍼灸がどのように体外受精成功への偉大なヘルプになっているか、
興味ありませんか?

11月19日水曜日、午後7時からYinstillで無料説明会があります。
今回は鍼灸とIVFを経験した方のショートドキュメンタリーも上映します。

参加ご希望の方は必ず前もって席の確保をしてくださいね。
日本語:604-363-1016(text/call), junko@yinstill.com
英語:604-873-9355

お知り合いにIVFを検討されている方がいるならぜひ教えてあげてください。
とても勉強になると思います。
御希望がありましたら、日本語での質疑応答も可能です。




Please join me, Dr. Spence Pentland this Wednesday November 19th at 7pm for a free information session to learn how acupuncture can help increase your chances of IVF success.

The presentation will include a short documentary film of a Yinstill clients experience while going through IVF.

All are welcome, but space is very limited so call now to reserve your spot - phone 604.873.9355

Location: 3523 Main st (Yinstill)


Forward this message to a friend if you think they may be interested.


Thank you.

Dr. Spence Pentland

Founder & Clinical Director - 
Yinstill Reproductive Wellness

 
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2014年10月7日火曜日

環境ホルモンによる生殖器官へのダメージ

さてこのハリネズミたち、どこに住んでいると思いますか?

答えは、乾燥機の中。

私は妊活中ではありませんが、お年頃&4歳の女子たちが住んでいるので、環境ホルモンはできる限り減らして、気持ちよく暮らせるように心がけています。このハリネズミたちを乾燥機に入れることで、ファブリックソフナーを入れなくても、静電気やもつれを防いだり、ふわふわに仕上げてくれます。無いのは香りだけ。

日本で乾燥機が一般家庭に普及し始めたのはまだここ数年ですよね。20年ほど前アメリカで暮らしていた時、乾燥機用のファブリックソフナー(ドライヤーシート)に初めて出会ったのですが結構衝撃を受けました。タンスの引き出し、クローゼットの中、はたまたピローケースの中まで入れて、くまのファーファのにおいをクンクンかいで幸せな気分に浸っ  ていました。大学がたくさんあるところに住んでいたので、そこら辺学生寮だらけ。夕方になると(日本だったら晩ご飯の  匂いがしてくるはずが。。。)ランドリーの匂いがそこら中の裏道に溢れてきてとてもいい匂いだったのを今でも覚えてい  ます。
   
さて、そのドライヤーシートを使って乾いた服はいつまでもいい匂いがしていますが、それにはやっぱりケミカルの力が働いています。主な化学物質であるノニフェノール(Nonylphenol)は、ご存知ダイオキシンやDDT(殺虫剤・農薬)と共に環境ホルモンと呼ばれていますが、なぜ、ホルモン?実はこれらの環境ホルモンは体内に蓄積され、女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用をするのです。もちろん擬似なので肝臓では代謝されにくく体に蓄積されていき、エストロゲン過剰の状態が続くと考えられています。もし常にエストロゲン過剰の状態では、ホルモンバランスが常に崩れているわけですから、排卵が起こりにくくなったり、PMSがひどくなったり、月経異常、不妊などという問題が出てきます。
アメリカの環境保護エージェンシーによると、このノニフェノールは血液や尿だけでなく母乳からも検出されているというレポートが出ています。またマウスを使った検査ではオスの精子異常も含め、有害生殖・発達異常が認められています。
母乳から検出されていて、服はドライヤーシートを使い、もちろん肌に直接あたる下着、タオル、ベッドシーツもそう、その環境で赤ちゃんの時から育ったとすれば、生殖器官へのインパクトはやはりかなり大きいと思います。

下記は、同じような意味合いで使用を避けるよう勧めているリストです。 ご参考までに。
  • オーガニックでない動物性プロダクト(肉・卵・乳製品)
  • オーガニックでない、フラックスシード・豆乳製品・全粒穀物・サンフラワーシード・フルーツ・豆類・アルファルファスプラウト・フェンネル・ザクロ・ホップ(ビール)・コーヒーの摂りすぎ(オーガニックで、さらに摂り過ぎでなければ良い)
  • プラスチックの入れ物に入って売られている水
  • 香り付きの洗剤等(ランドリー・ボディ・シャンプー・食器用・掃除用)
  • ドライヤーシートと柔軟剤
  • 内容物が記入されていない化粧品
  • プラスチックの入れ物でレンジで温められたもの
  • 農薬
  • フタル酸(プラスチックを柔らかくする環境ホルモン)

2014年10月1日水曜日

秋におすすめのおやつ


秋におすすめのおやつは、梨!

バンクーバーの秋、雨は多いとはいえ、今日みたいな天気だと心がウキウキしませんか?でもすっかり気温は下がり、冷え性の女性には辛くなる季節に突入です。そして、室内では暖房のスイッチが入り、空気が乾燥してきます。呼吸器系代表の肺はこの乾燥にとても弱いので注意が必要です。呼吸器系には、肺を含め、鼻、そして体で一番大きい臓器とされている皮膚が含まれ、外部からの邪気の侵入に対して一番前で守備してくれている免疫システムです。この呼吸器系は乾燥が大嫌いな上、他の臓器やシステムに比べ影響を受けやすくなっています。

外からの邪気がこの免疫システムを破り体の内部に入って悪さを始める原因は肺が潤いを保てていないときに起こりやすくなります。たちまち、のどの痛みやかゆみ、鼻詰まり、咳、喘息、肺の炎症により熱が上がったりなどしますね。逆に潤った肺は感染を防ぎ、炎症を抑えてくれますが、乾燥した肺ではしつこい咳や気管支炎などと病気も長引き治りにくくなります。そして免疫システムをくぐり抜け内部に入り込んだ邪気は胃腸系に向かい、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢や便秘などを引き起こします。中医学では肺と大腸は直に繋がるペアの臓器なので、良くも悪くもお互いに影響を与え合います。

 ”梨”はなぜ秋が旬なのかも実はここに繋がりがあるのです。梨はこの乾燥した空気にさらされた肺を加湿器のように潤いを与えてくれるのです。りんごを毎日食べると風邪知らずとよく言いますが、この時期は梨に置き換えるのも良いかも知れないですね。りんごは冷の属性なので、この時期から暖かくなるまでは、シナモンやはちみつと一緒に一度調理して食べるといいと思います。
その他にこの時期おすすめといえば、大根、百合根、山芋、玉ねぎ、白ネギ、にんにく、白きくらげなど。これらに共通しているものといえば。。。
そう、白色の食べ物です。中医学では各臓器は色と季節で表されます。心臓は赤、季節は夏、脾臓は黄色と夏の終わり、腎臓は黒と冬、肝臓は緑と春、そして肺は白、季節は秋。このように旬の食べ物を毎日のごはんに取り入れるのは理にかなっているのですね。なんせ4000年以上の歴史のある中医学ですからそのあたりは納得です。

付け足しですが、バンクーバーは私も含め健康オタクが多いですね。とてもいいことですが、だからといって流行っているひとつのことがみんなに良いとは限りません。その一つに、グリーンスムージー。色んな野菜が瞬間乾燥されているため栄養分が損なわれておらず、手軽に取れる朝食として流行っています。中にはオーガニックのものもあり体に良いのはよくわかります。でも胃腸の弱い人やこの時期から体に冷えが感じられる人は要注意です。特に冷蔵庫から取り出した水やミルクと一緒に混ぜて飲むなど毎朝繰り返していると、体内に直接冷えを取り入れているようなもので、来年春が来ても体の冷えがなかなか取れず、風邪も引きやすくなったりと、それでは健康食品と思って摂っていたものがかえって不健康食品になってしまします。解決策としては、冷たい水やミルクとは混ぜず、常温のものと混ぜることと、少しだけ生姜をいれて飲むこと。体を温める生姜はこれらの緑野菜たちの冷の属性のバランスを良くしてくれます。更に消化器系から痰を取り除く作用も持ち合わせています。消化器系で生まれた痰は肺に収まるので、消化器系での痰を減らすと肺への負担も軽くなるという訳です。油を使っての炒め料理に生姜が欠かせないのもそういう目的があります。ただ生姜は気を上げるという作用も持ち合わせているため、夕方以降に摂取すると眠れなくなったりということも。目覚めや朝食後に生姜湯というのが個人的にはおすすめです。

2014年6月28日土曜日

中医学で更年期に体のメインテナンスを。



今回は趣向をかえて。。。
キツラノにあるピラティススタジオの方から、更年期についての記事を書いて欲しいというありがたいお誘いを頂いたので、ここしばらく診療の合間にちょこちょこと書いていました。せっかくなので日本語に訳して載せたいと思います。


毎月、月経サイクルを保ってきてくれた子宮も30年以上もたつと、そろそろスローダウンしたいなと疲れが見え出すのは、他の臓器と同じ。ホルモンを放出してくれている子宮と、ホルモンを出すように指示を出す、脳にある視床下部下垂体とのコミュニケーションにも変化が見られます。相変わらずハイコマンドなボス、視床下部下垂体から出る指示には変化がないのに対し、一生懸命働いてきた子宮は段々とタスクがこなせなくなってくるのです。

息をする、心拍を保つ、血圧を保つ、血管の拡張・収縮など、私たちが意識する事なく、ありがたいことに勝手に作用してくれる自律神経系は、このコマンドセンターと深く関わっている為、子宮などの生殖器官の機能や状態に良くも悪くも影響を受けます。
ホルモンバランスが崩れると、今まで勝手に作用してくれていたことができなくなるは、これが理由なのですね。とたんに体温調節ができず多汗や火照りをおこしてしまったり、イライラや不安、鬱、喉の渇き、膣の渇き、熱いような痛みが舌に感じられたり、口臭、運動もしてないのに動悸、そして睡眠障害などを引き起こします。他の症状でみられるものとしては、胃酸過多による吐き気、爪がもろくなったり、抜け毛、頭痛、疲れ易い、関節痛、骨粗鬆症など、リストはまるでとめどなく続くようです。

でも実は、とてもいいニュースもあるのです! 
更年期前に体のサインを見逃さず、十分メインテナンスしてあげることで、これらの症状を予防できるのです。もしも、すでに更年期に突入し、症状があらわれていても、決して遅くはありません。 症状を和らげ、更年期後の生活に備えることができます。

体の声を聞き、素直に従うことが鍵なのです。

中医学と西洋医学では、名前は同じでも臓器の捉え方や機能が多少違います。わかりやすく車に例えて話してみましょう。

肝臓は車でいうとエンジンに当てはまり、スムーズな動き全体を担っています。車に必要なガソリンや水分を補給してくれるのが腎臓です。
ガソリンや水分が充分でない場合、エンジンを冷却することが不可能になり、オーバーヒート状態になり、さらに続けて運転なんてしてしまうものなら、悲鳴をあげ早々に壊れてしまいますね。
人間の体も同じことが言えるのです。腎臓から肝臓へ必要な水分を送ることが出来なければ、肝臓が担っているスムーズな動きというものは滞り、熱を持ち始め、とたんにイライラや頭痛、睡眠障害などの原因となります。

運転席に乗っているあなた、目の前に”エンジンチェック”のライトが点滅したらどうしますか?
そのまま乗り続けますか?


では、あなたの体が枯乾し消耗してきたとサインを出し始めたらどうしますか?
コーヒーを飲んでどうにかその場しのぎの勢いをつけ、無理やり動き始めますか?今まで通り、ジョギングしたり、残業したり、パーティーやイベントごとでカレンダーを埋めますか?
精力を使い果たしたにも関わらず、カフェインや過度な運動によって、脳の興奮状態が続き、なかなか眠れません。今度は体を無理やり休まそうと、ワインやビールに手が伸びていませんか?もしくはホルモン注射とか?
これでは体のメインテナンスどころか、体が出すサインさえも無視しているようなものです。自分を大切にしているとは言い難いと思います。

中医学がバランスを崩したホルモンや機能しにくくなった体をメインテナンスするのにもってこいなのはどうしてでしょう。
鍼は中医学のメインツールと言えますが、その鍼がなんと、交感神経と副交感神経の活動状態を調節してくれるため、自律神経系の病気を治療することができるのです。これが 更年期障害(女性も男性も!)に鍼が効く一つの理由なのです。

鍼だけで更年期障害の症状が無くなり全てのバランスが保たれる?

鍼の力は偉大ですが、運転手はあなた。
鍼というメカニックが調整したからといって、あぐらをかいて20代の頃と同じような生活をしていたのでは、 元も子もないですね。
個人の食生活や睡眠、仕事などライフスタイル全般をみてアプローチできるのが中医学のいいところでもあるのです。
”のぼせ”は更年期のよくある症状ですが、更年期の女性が全員そろって経験するわけではありません。症状の激しさも違えば、持って生まれた体質、生活習慣などは、人それぞれ違います。だからこそ、あなた用にカスタマイズされた治療が必至なのです。
それが出来るのが、中医学の一番いいところで、バランスを戻すにはうってつけなのです。